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2004年 08月 12日
楽しい旅行先で、現地の方が愛嬌を振りまきながら
近寄ってくる。「オパール、オーストラリア産ね。現地 で買う、安い安い!」このような経験、きっと誰でも あることだろう。また、現地で購入すればきっと格安 で良いものに巡り合えると思い、旅行に出かける方も いらっしゃることだろう。もちろんそれ自体は非常に 楽しい経験、良い思い出の品とともに帰ってこられる 方が殆どだ。 それで終われば何ら問題ないのだが、日本に帰国 してからトラブルとなるケースが最近急増している。 では、海外で購入された貴金属にはどのような問題 が発生する可能性があるのだろう? サイズ直しや修理などの彫金作業において、物凄く 大変なのが海外で購入された宝飾品。え、そんなに 多くは無いだろうとお思いの貴方、実は毎月かなりの 数が持ち込まれる。これは、日本だとそれぞれの お店でサイズ直しや修理をすることが多いのと、海外 の場合は時間が無い為にそのまま現品を購入して 持ち帰ることが多いからだろう。 では一体何が大変なのか。 もっとも多いトラブルは素材である。海外の場合は K14(14金)が多い。下手をするとK10やK9なども ある。これはどういう問題が発生するかというと、 貴金属の地金の色味の問題だ。 プラチナ、金、銀いずれも、純粋な状態では非常に 柔らかく、宝飾品を作ったとしてもすぐに変形して しまう。しかも宝石を留めようものなら、石が緩んで 落ちてしまったりする。そのため、純度を落とすこと で地金として宝飾に適した強度を出しているのだ。 そして、他の金属を混ぜ合わせる比率を変えて 様々な色味を出すことが可能になってくる。現在 日本でもっとも宝飾用途に使用されているK18を例 にその色味をあげると、大まかに分けてもイエロー、 グリーン、ピンク、ホワイトがある。さらにその中で、 混ぜ合わせる成分の違いにより微妙な色の違いが 生まれてくるのだ。 ということは純度が下がれば下がるだけ色味の幅も 広く、しかも日本では使用されない成分が入っている 場合もあり、同じ色を出すのが極めて困難になってくる。 また、成分の違いで融解温度が変化する為つなぎ合わ せる温度が非常にシビアになり、下手すると折角の 思い出の品を壊してしまうことにもなりかねないので、 ストレスが非常に大きくなってくるのだ。自分が購入した ものであれば試すことも出来るが、やはり他人様のもの を試しで加工して壊すわけにはいかない。ましてや、 思い出の詰まった記念のお品であれば・・・。 それでも金であればまだ何とかするのだが、ひどい物は 銅やステンレスなどにメッキしてあったり、わけの分から ない金属を使ってあったりで、こうなるともはやどうしよう もない。バーナーであぶった瞬間に変色したり、貴金属 専用の溶剤に付けてしまうことにより溶剤が二度と使え なくなってしまったりなどトラブルが続出してしまうのだ。 よく壊れても良いからとお願いされるが、機材が壊れたり する危険性を考えると断るしかないのだ。精錬の手間も 数倍に跳ね上がってしまう。 またそのような商品は金属アレルギーの危険性もある のでお勧めしない。金属アレルギーは一度なってしまうと 完治は難しい。大好きなジュエリーも身に着けれなくなって しまう。基本的にアクセサリーは身に着けなければ身に 着けないほうが体には良いのだ。 また、宝石の場合は合成石、模造石の危険性も高い。 持ち込まれる宝石の御三家はオーストラリアのオパール、 タイのルビー、インドのダイヤモンド。現地で安かったのよ! と声を大にする奥様方を傍らに宝石を良く見てみると、 大抵宝飾品としての価値がない物が多い。 オパールはダブレット、トリプレットと呼ばれる模造石が もっとも多く、薄いオパールに価値のない石を張り合わせた もので、ガードルと呼ばれる円周部分を横から見ると張り 合わせた部分が地層のように境界線となって浮かび上がる のですぐに分かる。また人造のオパールも良く見かけるが、 これは色の変わり目部分が蜂の巣状にモザイク状になって いるため判別できる。これ以外は一目でイミテーションと 分かるものが殆どだ。 ルビーに関しては合成石が多く、残念ながら一般の方には まず判別は不可能だ。フレームフュージョン法(ベルヌイ法) で作られた物で、内部インクルージョンを拡大して見てみる と特徴的な構造になっていることが多い。街で話しかけて きて服の中から取り出して、というパターンはまずこの石 なので絶対に買わない事。もちろん価値はない。空港でも この石を売っていたりするので、お土産ならともかく、安い し、一生の記念になるからといって手を出すのはやめて おいたほうが良い。ちなみに約4時間で200カラットほどが 生成される。まさに錬金術だ。 インドのダイヤモンドに関しては、過去の歴史においては 極めて重要な唯一の産地であったが、現在インドで稼動 しているダイヤモンド鉱山は存在しない。ただし研磨技術 と低賃金によりダイヤモンドが多く研磨されているので、 そのような石が売られている。品質は余り良くなく、輝きが ない物が殆どなので心配する必要はないだろう。ただし、 模造石が多く見られ、YAGやGGG、ジルコニアなどの他 ガラス、プラスチックなど多岐にわたる。ダイヤモンドの 輝きを良く覚えておくこと。 アントワープやブリュッセルなどベルギーも観光客相手の お店が多い。広場の前で堂々と日本語を掲げている店は 日本人観光客専門店で、こういったお店で購入すると必ず 高い買い物につく。枠もプラチナではなくK18。調子の良い 言葉に惑わされることのないように注意したい。 海外の場合は、太陽光に含まれる紫外線の量にも注意を 払う必要がある。タイなど赤道近くでは紫外線の量が多く、 向こうで選んだものを日本で見てみると暗くなってしまう。 気持ち明るめのものを選んだほうが結果としては良いこと が多い。 海外で親しげに日本語で語りかけてくる外国人というのは、 まず確実に何らかの下心がある。日本人はお金持ちという イメージが既に完成されているし、信じ込みやすく、非常に 騙されやすい。疑うことを知らないと思っている人も多い。 日本に本当に興味がある外国人を探すならば、海外では なく浅草などで探したほうが早い。貧乏学生などうろうろ している。国際交流を図るならばよっぽど彼らと話をする 方が有意義で前向きな文化交流が図れる。何もわざわざ 旅先のしかも観光地で探す必要はない。無駄である。 それどころか時として命の危険にも繋がることを警告して おく。彼らの目の前で財布を広げない。現金は小分けに しておく。なるべく現金を持ち歩かない。などなど。 何よりまず、海外で直接商品を購入するのならばその 商品に対して十分な知識を持っておくことが必要最低条件。 またはそのようなスタッフを同行させること。添乗員では お話にならない。実際に海外で掘り出し物をいつも買って 来られる方がいる。その方はカメオが何より大好きで、 カメオの知識ならば私も到底かなわない。そのような、 十分な知識さえあれば十分掘り出し物を探し出すことも 可能なのだ。全てを勉強するのではなく、自分が好きな 宝石一つに絞れば苦痛を感じることもなく、楽しく知識が 身についていく。そうすればしめたものだ。 是非楽しい思い出とお買い物を両立できることを・・・。 感想はこちら。mailto:danzi@excite.co.jp
by danzi
| 2004-08-12 03:30
| 貴金属
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