時計技師・宝石鑑定士・貴金属彫金士ダンジの裏話
2009-12-30T19:20:24+09:00
danzi
時計技師、宝石鑑定士(GIA,GG)、貴金属彫金士(GIA,GJ)、JCなどの資格を持つダンジが綴る様々な裏話、暴露話、噂話など。mailto:danzi@excite.co.jp
Excite Blog
お詫びとご挨拶
http://danzi.exblog.jp/12585252/
2009-12-30T19:20:29+09:00
2009-12-30T19:20:24+09:00
2009-12-30T19:20:24+09:00
danzi
雑談
今年はせめて1度でも更新をかけようと思いながら、
結局一度も投稿する事かなわず、内心忸怩たる思い
で一杯である。投稿を心よりお待ちいただいていた
みなさんには大変申し訳なかったと反省している。
ご心配・お気遣いのメール、本当にありがたく感謝しております。
途中まで書きながら中断している原稿もいくつかある中、
来年こそは、定期的に投稿したいと思っている。
どうか、良い新年を迎えられる事を・・・。]]>
京都の匠、俄-NIWAKA-
http://danzi.exblog.jp/8472808/
2008-04-26T02:02:08+09:00
2008-04-26T02:02:18+09:00
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danzi
ブランド
私はといえば、本業以外の部分で仕事が山積しており、特に先月までは
年度末という事もあり、役所へ提出する資料作成などでほぼ徹夜が続く
といった日々を過ごしていた。ようやくちょっと落ち着きを取り戻しつつある
今日この頃である。
さて今回は、読者からご質問を頂戴した俄-NIWAKA-を取り上げて
みたいと思う。ご存知の方も多いブランドだと思うが、間違いなく現在の
ブライダルの一つの流れを形作ったブランドであり、海外進出を果たした
ブランドでもある。その中身についても相当濃いものがあり、到底コメント
欄で書ききれる内容ではない。今年はまだ投稿していなかった!という
事もあり、頑張って書いてみよう。
久々にお付き合い願いたい。
まず最初にお断りしておきたいのだが、私は俄の青木社長とは旧知の仲
であり、知らず知らず俄寄りのコメントをしてしまう可能性が非常に高い。
それが今まで俄に対しての記事を書く事がなかった理由なのだが、その旨を
ご了承いただいた上で今回の記事についてはお読みいただきたい。
さて、俄というブランドに対して皆さんはどのようなイメージがあるだろうか?
京都の地に生まれ育った、日本の匠の技が詰まったブランド。そしてどちらか
といえば保守的なイメージが先行するブランドであるのは間違いないだろう。
しかしその実態はといえば、業界の先頭をひた走る革新的なブランドだ。その
際たるものがPT950ハードプラチナの採用だろう。一般的なPT900よりも
純度が高く、鍛造ほどではないにせよ強度も高い。これはただ単に良い
素材を使用したという事ではない。PT950とはプラチナ製品の世界基準
なのだ。
世界でも稀に見るほどプラチナジュエリーが氾濫している日本だが、こと
純度という点では世界基準に対して遅れを取っている。海外ではプラチナ
製品はといえば950であり、日本のように850や900といった純度のものは
まず見かけることがない。(※プラチナの場合、純度は1000分率で表示。
950ならば95%、850なら85%がプラチナである。)
そうした中、世界基準に合致し、さらに日本製品ならではの特徴(強度)を持つ
素材を使用している。世界のマーケットを視野に入れて商品開発をしている
ということなのだ。国内ブランドは数多いが、果たして、今どれだけの国内
ブランドが世界のマーケットを視野に入れているのか、はなはだ疑問である。
ホワイトゴールドにしても同様だ。俄のマリッジリングは素材を選択できること
でも有名だが、なかでもホワイトゴールドはロジウムメッキを使用していない。
それは、通常のホワイトゴールドが安価なパラジウムを割金として使用する
のに対し、俄のホワイトゴールドはプラチナを使用するからなのだ。そこには、
ユーザーが指輪を使用しメッキが剥れたときに起こる色変わりを防ぐ事が
できるという、ユーザー重視の考え方がある。
作りについてもかなりしっかりとしている。青木社長自身が職人上がりという
こともあるのだろうが、付け心地の良さ、仕上げ具合、素材など、随所にその
こだわりが表れている。それは青木社長自身の頑固さの表れでもあるのだが、
プラチナが高騰している昨今、敢えてプラチナ950を採用したというエピソード
からもそれが分かるのではないだろうか?もっとも、周囲はそれをフォローして
いくのに大変だということのようだが・・・。
そして、圧倒的にプロモーションが上手い。リングの一つ一つに名前を付け、
ネーミングの由来と願いというストーリーを付けていることを筆頭に、社内の
人間だけでなく外部、特にメディア関係の人間を入れ、徹底してストーリー性
を練り上げている。これを批判する業界関係者は多いが、アウトソーシングは
当然の手法。海外のブランドはもっと徹底的にやっており、批判する事自体
自分たちの視野の狭さ、経営者としての器の小ささを示すようなものだと
私は思っている。付加価値を如何に高め、ユーザーの満足度を追及するか。
それに対する一つの答えがここにあると思う。
ただ、デザインとしてはマリッジリングについては申し分ないが、エンゲージ
についてはちょっと弱い印象があった。デザインが懲りすぎていたり、逆に
何の変哲もなかったりで、マリッジに比べて選択肢に困るイメージがあった。
月彩や初桜といった最近のモデルではかなり秀逸なデザインが登場してきて
いるが、それでも他のブランドと比較すると選択肢に困るような印象がある。
最近ではN.Y.NIWAKA(ニューヨークニワカ)という、アメリカ製の逆輸入
デザインを一部で展開しているが、これについてはデザイン、仕上げともに
今ひとつぴんとこないし、俄が持つ独自性というものを感じることはない。
対して、同じ兄弟ブランドであってもルシエについては、俄以上に徹底した
ストーリー性を感じさせるブランドだ。最初からエンゲージとマリッジを連動
させたストーリーが出来上がっており、俄と違って枠のみの供給もするという。
これは、販売店のダイヤモンドであっても、ユーザー持ち込みのダイヤモンド
であっても、ルシエの枠に留めるということ。このように、ブランドによって
コンセプトを変えて展開するという柔軟さは、取扱店も多岐に広げる事が
できる。このスタイルならば取り扱える、という窓口の広さに繋がる。
この辺りは青木社長のしたたかな経営戦略を垣間見る事ができて楽しい。
このように、俄というブランドは他の日本のブランドと比較しても、頭一つ
飛び出たコンセプトを持ったブランドだと評価している。作りの良さはもちろん、
素材へのこだわり、ブランドコンセプトなど、経営者の視点の違いが明確に
差となって表れている気がする。アメリカ進出も果たしており、世界に進出
していくブランドの一つである事は間違いない。今後のブランド展開が楽しみ
である。
感想はこちら。:danzi@excite.co.jp
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アイプリモのその後。
http://danzi.exblog.jp/7416533/
2007-09-09T02:35:15+09:00
2007-09-09T02:35:15+09:00
2007-09-09T02:35:15+09:00
danzi
雑談
アイプリモやラザール・ブティックを運営するプリモジャパンに
関係する記事が日経に記載されていたので、久々に筆を取る
ことにした。本来は別の記事を準備していたのだが、こちらの
ほうが優先順位が高いようだ。
久々で簡単な内容だが、お付き合いいただきたい。
本日、日経新聞を読んでいたところ、次の記事をみつけた。
東京証券取引所は7日、東証マザーズ上場の結婚式関連サービス
会社の「モック」が同日発表した株式併合などの資本政策が「市場を
混乱させるおそれがある」として、東証の規則に基づき、同社に対し、
投資家に注意を喚起する「公表措置」を初めて適用した。
モックといえば、アイプリモやラザール・ダイヤモンド・ブティック等を
運営する、あの旧スピードグループ、現プリモジャパンの親会社では
なかったか?3年前に株式を取得したときも驚いたものだったが、
投機的な体質が変わらなかったのか?連続の赤字を計上していたが、
とうとうこんな暴挙をせざるをえないところまで追い込まれていたのか?
と思いつつ調べてみると、何と今年2月、株式をゴールドマン・サックス
の関連会社である有限会社ジュピターインベストメントという会社に
譲渡していたことがわかった。
http://www.moc.co.jp/ir/library/pdf/other/070213_2.pdf
http://www.primojapan.co.jp/release_pdf/20070214.pdf
分かりにくくオブラートに包んで書いてあるが、要はモックとしては本来
の直営部門の建て直しが急務であり、連結子会社であるプリモジャパン
をかなりの高額で売却できるので、その売却益を手にすることによって
まずは損失補てんしたのだろう。そして、もはや自分たちで立て直す
よりも会社ごとファンドに売却してしまおうと画策したのが今回の騒動と
なったようだ。
しかし・・・。
モックの7日の終値が8680円。10株を1株とする株式併合の理論上、
株価は10倍の1株8万6800円となる。ところがファンドの新株予約権
の行使価格は1株1万5千円。このままの株価で推移すれば(それは
ありえないが…)、ファンドのぼろもうけである。
しかも10株未満の株主は端株となるため議決権が実質なくなるなど、
既存の株主をないがしろにした施策だ。週明けの株価に暴落は避け
られまい。
モックの行く末もどうなるか注視していようと思っているが、それよりも
プリモジャパンである。
有限会社ジュピターインベストメント自体は平成17年2月25日設立。
債権の買取と不動産売買および賃貸借と仲介が主な業務のようだ。
要は投資会社。つまりいずれまた売却すると言うこと。それにはもちろん
業績を伸ばすことによって売却益を得ないといけないため、赤字店舗
の整理・統合、各種業務提携による規模の拡大などを積極的にやって
くるだろう。そうやって売却益を得るのが主たる目的なのだから。しかし
そこには顧客に対する目線は一切存在しない。
それでも伸びる要素があるうちはまだいい。しかし一旦成長が止まって
しまうと後はもう売却と分割の繰り返しだ。そして最も迷惑を被るのが
一般消費者なのだ。
これが私がアイプリモであったりラザール・ブティックをお勧めしない
最大の理由だ。いつか必ず、大きな損害を被るときが必ずやってくる。
拡大路線が取れるうちはまだいいが、それができなくなる限界は必ず
やって来る。そのときの結末がどうなるかは、実際に今回のモックが
やって見せた通りではないのか?
モック関連でブライダルを挙げた方やその関係者は私の周りにも沢山
居るが、私が話を聞いた限りにおいてはみな一様にショックを受けて
いる。自分達の思い出が踏みにじられたような気持ちになるのだそうだ。
投機マネーに操られ、レッテルを貼られた会社。そんな会社で人生の
1ページをスタートしたのか・・・。自分達の人生はどうなるのだろう?と、
本当にここまで考え込んでしまう人も居るのだ。
私の会社は工房という性質もあってか、他社製品の悩み相談に訪れる
方も非常に多い。このような方がこれ以上増えないで欲しい。切実に
思う今日この頃である。
感想はこちら。mailto:danzi@excite.co.jp]]>
婚約指輪の選び方。その2
http://danzi.exblog.jp/6414172/
2007-01-31T16:33:06+09:00
2007-01-31T16:33:06+09:00
2007-01-31T16:33:06+09:00
danzi
宝石
本年も気長にお待ちいただけるよう(苦笑)お願い申し上げます。
今週はビッグサイトにて国際宝飾展が開催されており、様々な
ネタには事欠かない。そのうちに記事にして行こうと思っている
ので楽しみにして頂きたい。なお、今回私がイタリア人だという噂
も聞くことができたのだが、見た目はともかく、私はれっきとした
日本人なので謹んで訂正させていただきたい。
さて、年明け最初は婚約指輪の選び方について投稿してみよう。
指輪の選び方でも最も問い合わせが多い事項が、価格に関する
ものだ。これまでも散々出てきたように、値引きがあってもそれが
本当の意味での値引きなのか、最初から値引きができるように
高く設定されているのか分からない。決めたは良いが、何か騙さ
れたような気がする。安いといわれて買ったけど、他の店の方が
安かった、など、およそ価格に関する苦情には枚挙に暇がない。
また、宝石の相場が分からないとか、宝石の価格なんてあって
ないようなもの、とかいう話もよく出てくる。
確かにハッキリとした定価というものは存在しないし、存在しよう
もないのだが(理由は後述)、我々の取引では当然ながらある
程度の相場感というようなものは存在する。では一般の方々は
どのようにして価格を見極めれば良いのだろうか?意外と簡単
に適正価格かどうか判断することができる方法を伝授しよう。
最初に断っておきたいが、騙されたと言われる方の大半はただ
単に納得していないだけではないかと思っている。本当にその
ものの良さを理解し、納得のうえで購入したのであれば、その
金額以上の価値を見出すことができるのではないだろうか?
一番重視すべきはその品物に込められた相手の思い。ぜひ
それを無にしてしまうようなことだけは慎んでもらいたい。また、
それが今まで価格について口を閉ざしてきた最大の理由だ。
価格というものもあくまでも鑑定書と同じで評価基準のひとつ。
肝心なのは、自分自身がその価格について満足いくまで納得
できたかどうかなのだと私は思う。
逆に言えば、その方が本当に良い買い物をした、と納得されて
いるのならば、私が何を言おうと逆効果。むしろそこら辺のあり
ふれたものと一緒にしないで!とか怒られてしまうのがオチだ。
いくらピジョンブラッドのルビーの方が価値が高くても、ピンク
サファイヤの方がずっと好きだし、ルビーは嫌いだから身に付け
ないなどと言われてしまえば、私は何も言えなくなってしまう。
人の価値観というものは本当に難しい。
それに宝石というものには定価がない。これにはいくつもの理由
があるのだが、その最大のものは、天然のものであるがゆえに
いつ大量に採掘されるか、又は枯渇するか誰にも分からない、
ということだ。工場で生み出されるものならばコストの計算も
し易いし、年間の生産量なども立てやすい。しかし天然宝石の
場合、運が良ければ鉱山に入って数日で鉱脈に当たる事もあれ
ば、何十年掘り続けても殆んど採掘されないこともある。
また運良く当たった鉱脈からどの程度の量や品質のものが採掘
されるかも分からない。ここ最近ではパライバトルマリンがその
良い例だろう。最初はごく普通のトルマリンとして売買されていた
が、その後採掘量が減るにつれて徐々に高騰。鉱山が閉山する
と価格は一気に上がった。一時アフリカ産などのものが出てきて
価格が下がる気配を見せたが、品質やサイズの面で手堅く推移。
実は組成が違うと判明するとまた上昇。あまりに変動が激しい為
に定価の付けようがないのだ。
もちろん人工的に生み出すことのできる水晶など、価格の変動が
少ない宝石もあることにはあるが、これは宝石としてはあまりに
ありふれているがために高額になりようがない。
また地域性というか、特定の国でのみ人気がある宝石やその色
というものがあるため、必然的にエリアによって価格差が生じる
こととなる。
その他為替や紛争、国家備蓄の放出に投資マネーなど、様々な
要素で価格は変動していくが、それら全ての要素を考えて、この
価格設定ならば妥当であろうと考えて、全国的に統一されている
相場のようなものがある。この、判断基準となりそうな、細かい
価格設定をしている会社。看板を背負って、安心と信頼を全面に
押し出している企業。少なくとも不当な価格設定だけはしない
企業。それが百貨店だ。
大手百貨店には必ずバイヤーが居て、店頭の品揃えや価格を
チェックしている。そして、これは不信を招くのではないかという
ようなものは排除していく。そして会社の利益を最大限に守ろう
としていく。その過程においては取引先企業にも万一の保証を
求めてくるし、委託販売が殆んどの為に、実際の販売からその
納入業者に代金が支払われるまでのサイト(支払い期間)も
半年など長期にわたる。必然的にそこには金利も掛かってくる。
そのような、安心料、保険料に金利といったものも含まれてくる
のが百貨店の価格だ。
つまり百貨店の価格というものは、決して安くはないが、少なく
とも騙されたと感じるような設定にだけは絶対になっていない。
(断っておくが、決して安くはない。あくまでも不当に高くもない、
つまり相場に沿った設定になっているということだ。)
婚約指輪を選ばれる方にまずお勧めしたいのは、一番に百貨店
の(ブランドではない、ノンブランドの店頭プロパーの)価格を必ず
チェックしておくこと。それから専門店を巡れば、どの価格設定が
妥当なのか、つまり最初から値引きを見越して高く設定している
のかどうかがすぐに分かる。そして良心的なお店というものも
必然的に見えてくるだろう。そうやって比較検討していけば、
少なくとも価格に関しては騙されることはないだろう。
また、ブランド物で選びたい場合は、様々なブランド(その中に
必ず自分がよく知っているブランドを含めること)を見ておき、
そこと比べて知名度や作り、デザインなどの面で比較検討して
みて、その価格差が納得のいくものかどうかを考えれば、こちら
も怪しいブランドもどきに騙されることもないだろう。
もし宝飾専門店やブライダルダイヤモンド専門店などを廻られて、
百貨店の価格設定より高いなと感じられたら、その値段という
ものは相当に高い設定になっていることだけは間違いない。
日本最大のとかベルギー直輸入とかバージンダイヤモンドだとか
いう謳い文句に惑わされず、的確に判断できるようになっておき
たいものだ。少なくともサイトホルダーから直接仕入れをしている
とかいうのが事実であれば、百貨店よりもずっと安い販売価格に
できるはずなのだから。
まずは百貨店で相場を勉強すること。そこからお得な婚約指輪
選びは始まると思って頂きたい。
感想はこちら。:danzi@excite.co.jp
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紛争ダイヤモンド。
http://danzi.exblog.jp/6154715/
2006-12-07T01:09:46+09:00
2006-12-07T01:09:46+09:00
2006-12-07T01:09:46+09:00
danzi
宝石
自分自身の体調もさることながら、各種団体の仕事などに加え
お祝い事に不幸と、何かと忙しい期間が続いての投稿再開である。
年末にかけて更に忙しい時期を迎えるので、体を壊さぬよう祈る
ばかりである。
さて、皆さんは紛争ダイヤモンドという言葉を聞かれたことがある
だろうか?名前も禍々しいこの紛争ダイヤモンド、実は近々公開
予定の映画『The Blood Diamond』(レオナルド・ディカプリオ主演)
の題材でもある。映画の予備知識にもなるこの紛争ダイヤモンド
について、ちょっと触れてみよう。
今年の夏。サイトホルダーからの書類が届くようになった。DTCに
対する誓約といったような文面のその書類は、紛争ダイヤモンドに
ついてのものだった。何を今更…と思っていたのだが、この映画の
話を聞くに及んで、なるほど、だから神経を尖らせていたのかと
納得した次第である。
『紛争ダイヤモンド』。英語でコンフリクト・ダイヤモンドと呼ばれる
このダイヤモンドは、鉱物的には通常のダイヤモンドと全く変わり
無い。品質もありとあらゆる品質のものが含まれる可能性がある。
では紛争ダイヤモンドとは一体なんであろうか?広義的には『国連
などで世界的に認められた行政組織(自治組織や独立国家など)
と係争状態にある組織やテロリストグループなどが、自己資金の
獲得の為に売買しているダイヤモンドの総称』であろうし、狭義的
には『アフリカ(特にシエラ・レオネやアンゴラなど)における反政府
組織が活動資金を得る為に売買しているダイヤモンドの総称』と
言えるだろう。
かのアルカイダも、活動資金の獲得の為にダイヤモンドの売買に
手を染めていたとの記事をワシントンポスト紙にて読んだ覚えが
ある。かつてのソ連、現在のロシアにとってみてもプラチナとダイヤ
モンドは外貨獲得のための主要貿易戦略物資である。テロ組織や
テロ国家でなくとも、マフィアやヤクザ、スリ・窃盗団がらみの宝石
商というものは常に存在するし、ダークマネーの資金洗浄(マネー
ロンダリング)の一つとしてもポピュラーだ。
これは、ダイヤモンドの大きさに対して価値が非常に高く、しかも
耐久性も高いというその特性ゆえのことだ。手軽にポケットに忍ば
せることもできるし、もちろんかさばることもない。ダイヤモンド同士
でしか傷つかないと言われるほどに硬く、酸などでもダメージを
受けない。しかも高価。例えば全財産を持ち歩くことは不可能に
近いが、ダイヤモンドに替えてしまえばそれも容易だ。であるが
ゆえに、安心して資産管理を任せる人間が居らず、常に警察や
公安などから身を隠しつつ世界中を飛び回るような人には、これ
以上うってつけのものはない。
しかもダイヤモンドには美しさがある。その美しさは人々を魅了
するのはもちろん、その目を曇らせてしまう。それはどういうこと
かというと、ダイヤモンドを扱う宝石商を社会的にも立派な信頼
できる人物と捉えがちだ。宝石店のオーナーというだけで、私の
ような親父であっても、実態とはおよそかけ離れたイメージで
捉えられたり、団体でも地位のある立場に推されたりしてしまう。
犯罪者にとって、これほどうってつけの隠れ蓑はあるまい。
さて、このような定義の紛争ダイヤモンドが果たして日本に入って
来ているのだろうか?はっきり申し上げると、普通の、まっとうな
商売をしている宝石店にはまず並ぶことはありえない。紛争ダイヤ
モンドが国連などで大きな注目を集めた1990年代以降、世界各国
のダイヤモンド業界や国家、国連までもが一体となり、ダイヤモンド
の原石を管理するキンバリー・プロセスと、研磨石やダイヤモンド
ジュエリーも含めて管理するシステム・オブ・ワランティという2つの
仕組みを導入し、紛争ダイヤモンドを締め出している。
再度注意しておきたいが、『血塗られたダイヤモンド』にて設定され
ているのは1990年代という時期だ。現在とでは全く市場の流通
システム自体が異なっており、映画を鑑賞する際も、ああ、過去
にはそういう時代があったんだ…と思いを馳せていただければと
思う。
そしてその一方、かつて欧米諸国がアフリカの地で何をやり現在
もどのようなことをやっているのかも知っておく必要があると思う。
かつて東インド会社やセシル・ローズが行ってきた植民地政策は、
アフリカの歴史に暗黒の時代をもたらし、その後の独立の時代も
傀儡政権を立て、自主的な独立ではなく、あくまでも自分たちの
利益のための代弁者という形で操作している。テロという手段は
決して許されるものではないが、真の意味で独立を目指して活動
しているテロ活動をしていないテロ認定組織というものもあるのだ。
決して欧米諸国の発表だけを鵜呑みにしてはならない。
今ダイヤモンド業界(特にDTC)では、ダイヤモンド産業がアフリカ
の地域発展に多大な貢献をしているという実績をアピールしている。
確かに、現在のアフリカ南部諸国の経済の中でダイヤモンド産業
が占める割合というのは非常に大きい。特にボツワナでは、年間
輸出総額の75%、GDPでは3分の1を占めるほどだ。そういう意味に
おいて、ダイヤモンドはアフリカの輝ける希望の象徴でもある。
だが、過去の歴史の清算としては到底不十分だ。ダイヤモンドの
輝きが、本当の意味でアフリカの人々の希望の星になれば…。
私はそう願っている。
感想はこちら。mailto:danzi@excite.co.jp]]>
婚約指輪の選び方。その1
http://danzi.exblog.jp/5379081/
2006-07-30T20:42:00+09:00
2006-07-30T21:01:41+09:00
2006-07-30T20:42:43+09:00
danzi
宝石
『婚約指輪の選び方』についてだ。通常は余程宝石に対して興味が
ない限り、婚約指輪が初めての本格的なジュエリーとなる方が殆ど
ではないだろうか?鑑定書の内容、特に4Cに関しては色んな処で
解説されているので、今更するまででもないだろうと思う。更に言えば
鑑定書というものはあくまでも判断基準のひとつ。基準が変われば
評価も変わる。その程度のものでしかないので、鑑定書の内容(とい
うより4C)のみで判断するのは避けた方が良い。
では一体どのような選び方があるのか?私が選ぶ際に重視する
ポイントをお教えしていこうと思う。あくまでも参考程度に留めて置いて
貰いたいのだが・・・。
さて、過去の記事で4Cのみで選んでは失敗するという話をさせて頂いた。
ではそれ以外にどのようにして選べばよいか、そのポイントはというと、
実際に見て選ぼう、という話ししかしていなかったように思う。これでは
問い合わせのメールがどんどんやって来るわけだ。ということで、私が
選ぶ際にチェックしている部分をご説明させていただこうと思う。
1.耐久性について。
まずジュエリーとしての必須条件は、身につけても壊れない程度の
耐久性を持っていることだ。何を今更、そんなに簡単に壊れるはずが
ないと言われる方は、これからの説明をまず読んでもらいたい。
『ダイヤモンドと言うものは人類が手にする宝石の中で最も硬く、傷も
入りにくい。だから安心して使えますよ。』このような説明を大抵の方
が聞かれたことがあるのではないだろうか?これはある意味において
は正しいが、別の側面から見ると正しくない。引っかき傷に対する強さ
である硬度は飛びぬけて高いが、衝撃に対する強さである靭性はそれ
ほど高くはない。これも以前お話ししたとは思うが、実は、カットの仕方
によってはこの靭性に影響が出るものがあるのだ。このようなカットの
ダイヤは普段使用していても欠ける恐れが十分にあり、選択する上に
置いては必ず避けなければならないものだ。
ガードル厚が極めて薄い(Very Thin Girdle)
このタイプのものはダイヤの外周(エッジ)が尖った形になっており、
いわばそろばんの玉が尖ったようになっているような状態だ。外周
部分というのはテーブル面と平行になっている。そしてテーブル面は
ソーイングと言う方法によってカットされる。つまり壁開面だ。では、
薄くて尖った壁開面に横方向より衝撃が加わるとどうなるか?当然
欠ける。ダイヤモンドはその性質上、横方向からの衝撃に弱いのに
そこが尖っていれば結構簡単に欠けるものなのだ。ちなみにダイヤ
の場合は、壁開面とはいえ雲母のようにきれいに欠けるのではなく、
まるで氷河が流れてきたような、同心円が縦に連なったような欠け方
をする。こうなると、もはやリカットしたところで大幅なカラット減になる
のは避けられない。その損失額は安く見積もっても十数万以上(石を
外しリカットするため、カラットが減少することによる評価減と、再研磨
の料金、研磨後のサイズに合わせて石座を再度作り直して石留め
する料金が掛かる)。
逆にガードル厚が極めて厚い(Very Thick Girdle)とどうなるか?
これは耐久性には問題ないが、カラット数を重視したカットに見られる
典型的なパターンの1つで、余りに厚いと輝きにも影響が出てくる。
ガードル厚に『極めて』と言う言葉があるものは避けた方が無難だ。
プロが居ればあまり店頭に並ぶことはないと思うが・・・。
次に枠についてお話してみよう。ジュエリーとして使用する場合枠にも
耐久性が求められるのは当然。爪を引っ掛けたり緩んだりしてダイヤ
を落としてしまうというのも結構ある話だ。ではどうするか?ここでプロ
として自信を持っているお店とそうでないお店との差がハッキリ現れて
くる。安いキャスト枠だけでなく、ハードプラチナを使用したしっかりした
枠にも対応できるかどうか。そのような枠を使用したブランドを扱っている
ということでも構わない。鍛造枠になると余りにボリュームが出てしまう
し金額も高価になってしまうのでマニアックな分野となるが、少なくとも
安いキャスト枠のデメリットをきちんと説明できるくらいの知識を持って、
より安心できる枠を薦めることが出来るくらいは期待したいものだ。それ
がジュエラーとしての見極めのポイントではないだろうか?
一度意地悪な質問をしてみると良い。爪を少なくしたい、小さくしたい、
デザインをこのように(突拍子のないようなデザインに)してみたい。
ちょっと我侭を言ってみて、その反応を見るとプロかどうかがよく判る。
また特に爪の部分の仕上げは石緩みに大きく関わってくる。ツール
マーク(石留めの際の工具の跡)が残っているのは論外としても、どれ
だけ滑らかに引っかからないように仕上げてあるか、バリは残っていない
かどうか?太さはどうか?
キャスト枠の場合、ス(細かな気泡)が入った枠は極端に強度が落ちる。
触ったときに変にざらざらした感触がしないか?表面が磨いてあるのに、
何か輝きが弱く、くすんだように感じられないか?黒い点のような極小の
穴が点在していないか?引っかいたような筋が何本も表面にないか?
付け心地が悪くないか?ここに挙げたような例は一例だが、もし該当する
ような枠であれば即刻返品ないしリフォームすることをお薦めする。
いずれ必ず後悔することになるだろう。
手作り枠の場合、石座とリングの繋ぎ目にはロウ材を使用するために
加熱のし過ぎによるピンホールが出来やすい。月のクレーターのような
くぼみが出来ていないか?ロウ材がきちんと廻っておらず、隙間が出来
ていないかどうか?そしてやはりスが出来ていないか?
提携式場にて10万円割引券などを配布し、見学に来たお客さまに更に
月曜特価やら創業何ヶ月記念特別価格やらで販売しているような某
ブライダル専門店は、私が見る限りまず間違いなく安いキャスト枠だ。
実物見たら呆れるくらい仕上げの悪い安物だった。そういう部分で
コストを抑えない限りあんな値引きはできっこないのだろう。もちろん
最初の値段も呆れるような価格設定だが。
海外においては、ダイヤモンドなどの宝石の専門知識がある人のことを
ジェモロジストと呼ぶ。そして彫金や貴金属加工、洋服とのコーディネート
や保管方法などの知識(本来はその技術)を持つ人をジュエラーと呼ぶ。
では装身具として、身に着けるものとしてのジュエリーを選ぶ際には一体
どちらの知識がより必要なのだろうか、ぜひ一度じっくりお考え頂きたい。
果たしてあなたの周りの宝石店は一体どのタイプだろうか?ジュエラー?
ジェモロジスト?・・・ディスカウンター?
皆さんには、ぜひ一生お付き合いの出来るお店に巡り合ってもらいたい。
感想はこちら。mailto:danzi@excite.co.jp]]>
首をかしげる国内企業。
http://danzi.exblog.jp/4440185/
2006-04-20T20:16:00+09:00
2006-04-24T04:44:20+09:00
2006-04-20T20:12:51+09:00
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時計
素晴らしさを語る記事を投稿したことがある。なかば期待をも込めた
記事だったのだが、じつはそのことに対しての反論が数多く届けられ
ていた。その大半は消費者の、舶来品至上主義とも言うべき思い込み
による情報で取るに足らないものだったのだが、実は一部取扱店より、
看過し得ない情報も寄せられていたのだ。ただ一方だけの情報のみで
記事にするわけにもいかず、私なりに情報の精度を確かめていたのだが、
その過程で様々な情報が出てくるに及んで、いよいよ確信せざる終えない
状況に陥ってしまった。今回は非常に苦い記事である。
いわゆる昔ながらの『時計屋さん』が激減している理由として、皆さんは
どのようにお考えだろう?携帯電話の出現により時計をはめなくなった、
時計に対する憧れがなくなったなど色んな意見が出されるが、ここに
興味深い意見がある。
海外ブランドにおいて、正規代理店の仕入れ価格よりもディスカウント
ストアの販売価格の方が安いという事実は、以前より指摘されていた。
為替相場の違い、海外と国内の輸入元の政策の違いなど、その根底
には単純ならざる理由が存在している。もちろんこの問題は以前も取り
上げ、現在においても時計業界に大きく横たわる問題である。
ところが同じ日本国内で、国産の時計なのに同一の現象がおきている
のはご存知だろうか?国産メーカーによる取扱店舗とディスカウントの
価格差がそれだ。しばしばディスカウントストアで目にする価格(それも
チラシ特価ではなく、常時販売価格)は、専門店の仕入れ価格よりも
遥かに安い。確かに大量仕入れなどの理由はあれど、既存の専門店
の仕入れ価格よりも安く販売できるだけの卸値で提供する。これが意味
するところは、メーカーは『時計屋さん』をもはや見捨てているというもの
なのではないだろうか?であるからこそ、価格競争に耐え切れない
『時計屋さん』がどんどんなくなっていっているのではないだろうか?
・・・どのような意見も万人を納得させることは不可能であるし、これだけが
全ての原因だとも思えない以上、この意見も物事をある側面から見たもの
としてしかご紹介できないが、少なくとも専門店のメーカーの政策に対する
不信感を表すものである。
確かに私も同じ理由により取扱を辞めてしまったものの一人なのだが、
かつては私も国産時計を並べていたことがある。若い方はご存じない
だろうが、「セイコーでスタート」というキャンペーンを全国で開催していた
頃は、私のようなお店でも月に百本近く販売していたものだ。今考えると
その頃が国産時計の全盛期だったのかもしれない。
そのような私に対するメーカーの見方は、良く言っても修理も出来る便利や
さんで、販売に関しては期待していない以上辞めるならどうぞ、というもの
だった。技術は一朝一夕で身に付くものではなく、ディスカウントショップが
アルバイト店員にそのような教育をするはずもなく、折角の国産時計の
優位性の一つを損ない、自分達の首を絞めることにならないかと真剣に
意見したものである。せめてディスカウント用には別のモデルなり名前を
使い、明確にして欲しいとも述べたこともある。結果はことごとく無視された
のだが、それでもなお、期待を込めて国産時計の未来を願っていた。
ところが、ここに来て暴挙とも思える行動に出ているブランドがある。
クレドールというブランドがある。セイコーの中でもグランドセイコーや近年
発売されたガランテなどと並ぶフラッグシップモデルで、非常に幅広い
ラインナップを誇る。グランドセイコーが機能美を追求するのに対して、
クレドールの場合は総合的な美しさを追及している(?)ようで、薄さ追及
のためにわざわざ部品点数を増やしたりなど、まずデザインありきという
コンセプトのようだ。モデル中には数億円するモデルもあり、数年前は
ブルネイ国王が1点モノを購入されたという記事が業界紙を賑わせたり、
スプリングドライブを初搭載したのがクレドールであったりなど、なかなか
話題には事欠かないシリーズなのだが、ここに来て取扱を辞めてしまった
り、辞める方向で検討している専門店が急増しているらしい。それは一体
なぜか?
私の手元に複数の取扱店(元取扱店を含む)から寄せられた情報がある
が、その中の幾つかは唖然とさせられるものだった。まずその一つは、
発売にあたって導入ノルマを課し、通常のラインナップとは別の形で販売
していたノードというシリーズに関し、クレドールの年間取扱高が一定基準
以上を満たしていない限り新作の供給はおろか、従来のモデルの補充も
行わないと通告してきたことだ。セイコーの基準で切り捨てられたショップ
は売り切るか入れ替えかの選択を示されたが、導入に当たって専用の
販売スペースを設けることなど少なからず投資を行っていたにも拘らず、
ある程度販売が見込めそうな、スプリングドライブを搭載した新作からは
手を引かざるをえない状況に激怒した専門店のうち幾つかは既に取引を
停止してしまっている。
そしてもう一つ。こちらはより深刻なのだが、地方の取扱店に対して何と、
発売日を過ぎた後に初めて、新作の案内と説明、受注会を開催した
のだ。断っておくが、ショップ限定でもなければ一部先行発売でもない。
単純に発売日よりも2週間遅れで、地方の販売店向けの新作発表会を開催
している。しかも先に案内した地方で予定本数に到達したのか、一部の
モデルは数ヶ月待つという体たらくである。私の常識でいけば、通常は
発売日までに商品説明や店頭へのサンプルの作り込みを完了し、発売日
と同時に一斉に店頭に並べるのが普通ではないだろうか?
片や店頭に新作が並んでいる百貨店がある一方、新作の情報を全く知ら
なかったお店がある。しかも、どちらも共に正規販売代理店であり、取引
条件も変わらないのだ。違いといえば立地条件と売り上げ規模。この情報
をとある小売店より聞かせてもらったとき、メーカーの姿勢に対して大いなる
疑問を抱かざる終えなかった。売り上げ規模で優劣を付けるのは構わない。
それはそのメーカーの勝手で販売店側が文句を言う筋合いのものでもない
と思うからだが、公式ホームページに掲載されているれっきとした正規取扱
店が発売日を過ぎても新作の情報を提供してもらえない。これは既存の
取扱店の切捨てと受け止められても致し方あるまい。いや、それ以前に
ブランド戦略そのものを疑ってしまう。
ある販売店のオーナーは、真剣に取り扱えば取り扱うほど馬鹿らしくなって
くるとこぼされていた。別の理由で昨年から一切、フェアを開催しなくなったと
いう販売店の方も居られた。販売店がやる気をなくしてしまえば売り上げが
激減するのも道理。どんなに良い商品を供給しようとも、それだけではブランド
構築には程遠いのだ。勿体無いとしか言いようが無い。
一般消費者にとって取扱店は、現物を確認し、情報を得ることが出来る身近
な窓口であるはず。またメーカーにとっては、自分達の商品を一般消費者に
販売してくれる最前線のはず。お互いが協力し合わないでどうするのだ?
しかも、クレドールのブランドシンボルであるクレスト(王冠)マーク。これと
混同するようなマークを使用したモデルを、海外専用モデルとして発売して
いた(いる?)らしい。ムーヴメントに関しては遥かに格下のものしか入って
おらず、金額的にも桁が一つ下がる程度のものらしいが、フラッグシップ
モデルと位置付けているクレドールと見間違うようなロゴを使用したものを、
しかも遥かに粗悪な内容でセイコー自らが発売していることで、メーカーに
対して本当にブランド戦略があるのかどうか不信感が拭えないらしい。
ブランドを構築する上で、忘れてはならない大切な事実がある。それは全ての
部署が団結し協力し合って、ブランドを育て上げるという目標に向かって進む
ことだ。これはただ単に一つの会社内のみを指すのではなく、一つの会社の
中でも営業・経理・総務・経営などさまざまな部署が存在するように、メーカー・
流通(卸)・販売店・サービスなど、ブランドに関わる全ての部署・企業が密接
に協力し合わない限り不可能なのだ。お互いは対等かつ尊敬しあえる存在
でなければならず、どこか一つが飛び抜けた優位に立ってしまうとお互いに
不平・不満・不信感が芽生えてしまい、そこで成長は終わってしまう。
過去にも海外で歴史のある素晴らしいブランドが日本に進出してきた折、卸の
方針や販売店の乱売でブランド自体が滅茶苦茶に破壊されてしまった例には
事欠かない。お互いの協力があって初めてブランディングが成立するのだ。
たまに専門店がメーカーや卸に対し高圧的な態度に出ているところを見かける
ことがあるが、正直そのような専門店は先が思いやられる。そのような驕りは
いずれ自分自身に跳ね返ってくるものなのだ。逆にブランドやメーカーで居丈高
なところも同様だ。たまたま今現在が好調だからといって、いつまでもその状況
が続くことはあり得ない。不振にあえぐときに下支えしてくれる部分こそ専門店
なのだから。
今の国内企業に大きく欠けているものがあるとすれば、それは長期的戦略に
基づいた経営方針・ブランド戦略だろう。新作を発表して2,3年で成果が出な
ければ方針転換、というのは余りにも行き当たりばったりだ。販売網も含め
全て自社内で行っているのならばともかく、販売店は全くの別会社なのだ。
今回の件では販売店側は販売員研修や在庫負担など、投入時に新規取扱
なみの投資を掛けているそうだ。そのことを全く理解せずに、自分達の都合だけ
で方針を変えるようでは、最終的には協力してくれる販売店も自ずから減って
いくことだろう。まずは現在の取扱店の意見を採り、自社の分析をし直す。そして
改めるところは改め、販売店側にも改めてもらうところは改めてもらい、お互い
戦略を話し合いながらブランド構築のための協力体制を作っていく。そこから
始めない限り、将来はどのようなものになるのか展望すら見出せない。状況に
対応するだけの戦術ではなく、状況を作り出す戦略を。今の時代は決して甘くない。
感想はこちら。danzi@excite.co.jp]]>
みなさんへ注意!
http://danzi.exblog.jp/4287078/
2006-03-21T23:25:47+09:00
2006-03-21T23:25:47+09:00
2006-03-21T23:25:47+09:00
danzi
雑談
というソフトをインストールするように促されたのだが、あまりにその警告が
怪しかったので、とにかくポップ・アップ・ウインドウを閉じるとともに検索して
みた。するとやはり騙しのソフトであった。詳細は下記参照。
http://www.higaitaisaku.com/removewinfixer.html
現在ページを調べてみているが、なぜあのポップ・アップ・ウインドウが表示
されたのか未だに良く分からない(そのようなプログラムが存在しない)。が、
もし私のサイトを閲覧された方で感染するといけないので注意を促すことにした。
とにかくマイクロソフトなどから、なかば強制的にソフトをインストールする画面
へ誘導することはありえない(自動更新を設定している方は別として)。何か
ソフトをインストールされようとしたら、とにかく中断し、一度調べてから実行
するようにご注意願いたい。
感想はこちら。danzi@excite.co.jp]]>
ブランド戦略の甘い罠。
http://danzi.exblog.jp/4200467/
2006-02-26T18:14:53+09:00
2006-02-26T18:16:22+09:00
2006-02-26T18:14:53+09:00
danzi
ブランド
昨年の12月より非常にたちの悪い風邪にかかってしまい、こじらせた挙句
気管支炎まで併発してしまった。あとちょっとで肺炎だったので、つくづく
よる年波には克てないものだと痛感してしまった。結果、溜まってしまった
メンテナンスの山。なんとか状況を打破しようと奮闘している毎日である。
さて、世の中には自社をブランド化したいと考える経営者が非常に多いが、
ご多分に漏れず時計・宝飾業界でもその動きは多い。特に時計業界に
置いてはその流れが顕著だ。それも時計ブランド(または総代理店)が
非常に強い。自社ブランド(取扱ブランド)を一流ブランドに育て上げる。
そのこと自体はごく当然の流れであり、そうなることを夢見ない経営者
はいない。ところが、今現在多くの時計ブランドが採っている手法を見て
いると、どうも自分で自分の首を絞めるような動きをしているようにしか
見えない。では一体何が問題なのだろうか?ここ数年の業界的動きに
注目してみた。
特にこの10年ほど、時計業界再編の動きが顕著だという話をしたことが
あるが、その動きと連動してか、ブランド販売戦略というものが幅を利か
せている。これは販売戦略と広告戦略にアフターサービスまでをも含めた
非常に大掛かりな再編策だ。
広告に関してはより充実させるという方向性で一致している。それも、
販売に直結するような広告ではなく、よりブランドイメージを高めていく
方向での広告や記事態広告を増やしてきている。これはもちろん歓迎
すべき方向性だと思われる。後述する点を除いては。
アフターサービスに関しては各ブランドまちまちだ。しかし、少なくとも
良い方向に向かっているのは極一部であり、全般的には非常に悪い
方向に向かっている。そう、縮小方向である。これは一体なぜか。
この十数年ほどは世界的な一大時計ブームということで、業績(売上・
出荷本数など)が大幅に伸びたブランドは数多い。受注に対応しようと
設備投資を進めるブランド、本社を建て替えたブランドなど動きは様々
だったが、ことアフターサービスに対する設備投資は一様に非常に薄い。
ところがオーバーホールに関しては、販売店に勧められてという購入5年
後と、OHせずに動かし続け、部品の磨耗などによる動作不良や遅れ等
具体的に不調が出てきやすくなる10年後というのが大きな山場となる。
もちろんこの10年後には5年サイクルでのOHユーザーも加わるために
非常に大きな波となって押し寄せるのだ。ところが前述したために、
各ブランドもアフターサービス部門はどちらかといえば日陰の存在、
クレーム窓口程度にしか考えていないと(酒宴の席でだが)発言する
経営陣もいて唖然とするものだった。(私の考えではクレームこそ
顧客の、忌憚の無い生の声を聞ける絶好のチャンスであり、そもそも
クレームを軽く見るその姿勢に問題ありと考える。)
今、サービス部門ではどのような事態に陥っているか。急増するメンテ
に対して人手不足、技術力不足、部品不足、検査不足など様々な問題
を抱え込んでしまい、自社では到底対応しきれずに公式・非公式を問わ
ず外注に出して何とかしのいでいる状況も目にする。
ここでふと疑問に感じる方も多いのではないだろうか?かつて60年代まで、
(厳密には違うが)機械式のみが生産されており、それらをメンテナンス
していた時代があったではないか。それが一体全体どうして・・・?
この原因の一つはもちろんクウォーツの出現。細かい調整やメンテナンスを
必要としないこのメカニズムは、スイスの時計産業にも絶大な影響を与えた
のは歴史的事実である。そしてまた、スイス時計産業のみならず国内の
販売店においても修理・メンテナンスの減少、異業種の販売チャンネルの
出現(それまでに比べお手軽に参入できるようになった。メンテナンス部門
がひつようないのだから!)に伴う小売店舗の減少という形で身近な工房が
減ってしまったことにも原因がある。そして、もうひとつ。前述の販売戦略に
伴う販売網の再編が、今大きなうねりとなって押し寄せているのだ。
販売網の再編。
ここ数年前より時計のブランドの取扱条件が見直され続けてきた。そうした
流れの中で主流となっているのがブランド直取引と販売店の格付け、そして
低ランクに位置づけられた販売店の切り捨てだ。
ABC顧客分類法というものがある。全体の20%ほどのAランクのお客様で
売り上げの70~80%が取れているという考え方だ。私としてはこれはお店の
選別化が進んだ欧米での話であって、もし日本の小売店でこのような売り上げ
比率であるのならば、創業期・発展期・充実期・衰退期のなかでも衰退期に
位置するのではないかと考えている。極力長く自社の発展を考えるならば
リスク分散の意味においても顧客層の拡大を狙う上でも、できる限りAランク
の顧客の売り上げに対する依存度を下げるよう努力せねばならず、60%未満
に抑えるべきだと思っている。現実にこれができているお店は、バブル崩壊後
も着実に売り上げを伸ばしているし、低迷しているお店は例外なく、Aランクに
依存した販売を行っていたところだ。
Aランク、つまり上お得意様のみを相手にするとしよう。そのままの売り上げが
未来永劫保てるのか?答えはもちろん否。寿命・事件・事故・・・。様々な理由に
より顧客は自然淘汰されていく。会社維持のためには常に新規獲得に努め、
Aランクの顧客数を維持しなければならないのだ。いざそのことに気づいて再度
新規獲得を目指そうとしても、一度減ってしまった来店客数を再び増加させる
には大変な努力と投資がいる。これが最近の宝飾・時計店が嵌まり込んでいる
落とし穴だ。
ところが、これをブランドは未だ理解していない。今現在多くの小売店が犯して
いる過ちを自分たちが繰り返そうとしているのだ。もちろん中には、有力小売店
側から同エリア内に卸さないでくれといった圧力も無いことは無いが・・・。
『絞込み』という言葉を彼らはよく使うが、よくあるパターンとしては以下の通り。
1.代理店(卸)の変更、または直接取引化
2.店頭在庫本数(または金額)・取引条件の厳格化
3.年間販売ノルマの確定
4.専用什器など店頭ディスプレイのコーナー作り
5.マスターショップなどショップ限定モデルの販売、または新作の優先的配分
6.ノルマ未達のショップへの供給停止
7.地域・エリアでの販売窓口一本化(エリア1ショップ制など)
その結果予想される事態は以下の通り。
8.総販売本数(金額)の減少
9.知名度の低下
10.クレームの増加(質の低下・窓口の減少・金額の高騰など)
なぜこんな想像をするのか。
今まで無かったブランドが新しく伸びていく段階としては、この手法は有効だろう。
しかし、既存の売れているブランドが採るべき選択肢ではないと私は思う。採る
にしても、それは緩やかな、少なくとも20~30年といった長期経営戦略の中で
保有資産と販売戦略とを考慮に入れながら考えるべきであって、数年単位で
考えたとしたら必ず遊休資産の売却や人的・設備的アウトソーシングがどうしても
必要不可欠となる。
具体的に考えてみよう。
3.までで取扱店舗はかなり減少する。現在の専門店はそのほとんどがパパママ
ショップといわれる小規模店舗。その地域でも地方中心都市以外での取扱店舗は
この時点で脱落すると思っていただいて間違いない。小売店舗数はもう何十年も
減少を続けているが、ここ10年ほどで廃業したショップのなかには、ブランドからの
締め付けに耐えかね、資金的に余裕のあるうちに・・・と考えて辞めていった小売店
が増加しているのが特徴だ。また4~6で取扱を辞めざるをえなかったショップとの
軋轢など、多大なる悪影響を及ぼしてしまったと考えられるケースもある。7に至って
は非常に問題だと考えるのだが、地域に1店舗にしたとして、その会社が問題を
起こしたり、倒産してしまったり、廃業してしまったら一体どうするつもりなのだろう?
有力店舗のみ扱ってもらえばそれでいい。正に第二次世界大戦の大鑑巨砲戦略が
垣間見えるような気がする。小回りの利く中小小売店舗をどんどん切り捨てていった
先に見えるもの・・・。かつての大日本帝国とオーバーラップするような気がするのは
私の気のせいだろうか?折しも映画「男たちの大和」が公開されたのは、何らかの
象徴のような気がしてならない。
経営者としてはリスクはできる限り分散させるというのは常識だ。体制的に明らかに
1ショップまでが限度というならば話はわかる。しかし、今まで厳しい時代(クウォーツ
ショック)を支えてくれた、見捨てずに取引を続け、ブランド維持を助けてくれた小売
店舗を切り離して恨みを買ってどうするのだろう?現在の一番店が廃業したときに
取引をお願いするのはまず間違いなくそれらのショップではないのか?
『囲い込み』と『絞込み』は根本的に違う。『囲い込み』は他のお店(ブランド)に
自分の顧客が流れないように繋ぎ止めることで、『絞込み』は現在の顧客を選別
して厳選していくということだ。現在の自社の規模を考えて戦略を練っているとは
到底考えられない。
また5の問題も深刻だ。わかりやすく言い換えよう。集めた税金(仕入れによって
発生するメーカー側の利益)はモデル開発にも当然割り振られるが、高額納税者
(売り上げ上位店舗)にのみ還元(販売を許可)すると言っているのだ。これには
かなりの小売店舗が激怒している。差別的扱いをされて怒らない店舗は無いのだ。
ノルマなど一切無いのならばまだ理解できる。しかし、衰退した地方都市でそれでも
歯を食いしばってノルマ達成に努力を続けるショップに対し、ブランド取扱の資格は
あるけれども、明らかに売れるとわかっているモデルに関しては取り扱いさせません
と宣言しているのだ。ブランドとして売れている間はそれでもいいだろう。しかし一旦
下火になったとき、このようなショップが一斉に叛旗を翻すのは間違いない。
しかも、このような中小店舗こそ職人が第一線で頑張っているお店が多い。恐らく
今まで気づいていなかったはずの、こうした2次的サービスセンターの存在がどん
どん減少しているのだ。現在既にサービス部門はパンク状態であるが、今後は
そうした状況が酷くなりこそすれ、改善することは無いだろう。考えてみるといい。
現在の高級専門店と銘を売っているショップに、職人が勤務しているところが
どれだけいるだろうか!
また、時計の場合は高額品ではあるが基本的に大量生産だ。名の知れたブランド
であるならば年間数万本は生産している。ところが、イメージ訴求・高級化を進めて
販売チャンネルを絞るならば、必然的に販売本数の減少を招き、その結果、当然
ながら生産にかかるコスト(原材料費・設備投資・維持管理費・人件費)や宣伝
広告費は重くのしかかり、製品単価の上昇を招く。工場をフルに稼動することが
できないために、遊休資産の増大、つまり資本の効率良い回転ができなくなる。
10生産する能力があるとして、初期導入とリピートで既に10売れ、更にバック
オーダーが1来たとする。この1の注文に生産工場は対応することができない。
今までならば販売店が多かったためにバックオーダーにも対応できていたのが、
その数が少なくなったために不良在庫の懸念から対応することができないのだ。
しかも販売戦略部門と生産部門はえてして意思疎通が希薄であり、お互いを
理解していない。そのため生産現場では今までに比べ売れなくなったという観念
に陥り非常に士気が低下してしまう。結果、集中力の低下やコストダウンなどに
より不良品の増大、品質の低下といった負のスパイラルに陥った結果、工場の
売却、ブランドイメージの低下といった形で消えていったブランドは過去にも数多い。
ゼニスにおいてはエルプリメロ一つとっても価格上昇度は異常だ。新たに設計
したムーブメントではない。それであるにもかかわらず。10年前のエルプリメロ
搭載モデルは定価でいくらからあったかご存知だろうか?20万円台である。
細かい変更はあったものの、バイプロダクトムーブメントがそれほど高額になる
はずも無い。これはブランド統廃合や代理店変更などの動きと無縁ではない
はずだ。
パテック・フィリップ・ジャパンは最初取扱の条件としていた年間販売金額を大幅に
緩和して、再度の取扱店募集をした。あのパテック・フィリップが、である。取扱を
優良ショップに絞り、研修や広告を効率的にできたとしてもそれまでの販売実績を
維持することは不可能なのだ。他のブランドもここに来て、いったん締めた手綱を
緩めにかかろうとしているところも多い。
そのような中、更に迷走を続けるSEIKOの高額ブランド戦略。これはまた別記事
にてお話させていただこうと思うが・・・。
早ければ5年後、少なくとも10年後までの間には、時計業界において更なる再編
が、それも非常に大きな規模での再編が起こると見ている。この予想は果たして
的中するだろうか・・・。皆さんの目で見届けてもらいたい。
感想はこちら。danzi@excite.co.jp]]>
お詫び。
http://danzi.exblog.jp/4099978/
2006-01-31T23:56:20+09:00
2006-01-31T23:56:20+09:00
2006-01-31T23:56:20+09:00
danzi
雑談
最近投稿ペースが落ちているが、最低でも月1では投稿しようと思っていた。
ところが今月はIJT(東京国際宝飾展)などのイベントに加え、時計の修理や
メンテナンスの急増により、どうしても投稿が間に合わなかった。首を長くして
お待ち頂いている皆様には非常に申し訳ないことをしてしまった。
現在新しいネタを執筆中であり、近日中に投稿させていただくので、今しばらく
お待ち願いたい。
また、いつも暖かい励ましのメールをお送りいただき、この場を借りてお礼を
申し上げたい。今年も頑張らせていただきます!
感想はこちら。danzi@excite.co.jp]]>
ドイツの至宝『ニーシング』その3
http://danzi.exblog.jp/3924470/
2005-12-19T15:39:19+09:00
2005-12-19T15:39:19+09:00
2005-12-19T15:39:19+09:00
danzi
ブランド
史上最大という大寒波の中、いかがお過ごしだろうか?特に北陸地方
の方は大雪との事、慣れていらっしゃるとは思うが御注意頂きたい。
さて、今回は今年最後のニーシングネタを投稿させていただこうと思う。
最近色んなメディアにも少しずつ登場するようになってきており、私も
かなり沢山のコメントやメールを頂戴するようになった。それは非常に
喜ばしいことなのだが、内容に関しては、ニーシングに対して誤解を
されていて、ちょっと引っかかるものが多い。
そこで今回は、ニーシングをより詳しく解説させていただこうと思う。
さて、ニーシングに関する意見の中で最も多いものは『芸術作品
なので気後れしてしまい、実際付けるとなると抵抗感がある』という
もの。もちろん好きか嫌いか、似合うか似合わないかという問題は
別にあるのだが、美術館に収蔵されているような芸術作品だから
気後れしてしまうという意見には、大いに反論させてもらいたい。
そもそも、ニーシングは芸術作品を作ろうとか、美術館に収蔵される
ような作品を作りたいということで商品を開発しているのでは断じて
ない。指輪そのものの本質を追求し、もっともダイヤを光り輝かせる
ように爪をなくし石座を取り除き、日常使用に十分耐えうる強度を
持たせるために素材から見直し、製造方法も改め、全ての要素で
考えうる限りベストを尽くした。その結果生まれたリングがたまたま
芸術作品として認められたというだけのことだ。
事実、美術館に収蔵してある芸術作品で実用に耐えないと思われる
ものは数限りなくある。そのような中、引っかかりも無く地金の強度も
十二分。しかもダイヤの輝きを最大限引き出す指輪。まさに実用の
ことを考えてそれに徹した指輪。それがテンションリングだ。ぜひ
普段使いでどんどん着用してもらいたい。
また、他のブランドと比べて、どうしてそこまでニーシングを絶賛する
のかという御質問。技術力が高いのは分かるけれども、他のブランド
にも高い技術力なくして作りえない作品はあるはずだというご意見
だったのだが、ではそのようなブランドとニーシング、一体何が決定
的に違うのだろうか?
カルティエやブルガリ、ハリーウィンストン、ヴァンクリフ&アーペル、
ティファニー・・・。ブランドは数多くあるが、そのいずれも自社で製造
しているのはごく一部だったり、中にはデザインも含めて全て他社に
製造させているようなところもあったりなどで、完全に自社で製造して
いるところはない。誰もが知っている著名なブランドでさえ、その実態
は商品とブランド価値の厳格な品質管理会社、という姿のところも
少なくない。そのような中、単なる製造どころか必要な地金、果ては
製造機械に至るまで自社開発してしまう技術者集団ニーシングは、
極めて異色な存在だといえる。
これは『並行品問題』でもお話させていただいたが、このような
品質管理型のブランドの場合、よほどしっかりと管理していないと
実際に製作している工房からの横流しが発生してしまう。その他、
デザインの流出やコピーの製造なども起きやすい。また、彼らの
信念を極論してしまうと、ある一定の品質を保つ商品とブランド
イメージを提供することで長く稼ぎ続けるというもの。常に最高の
品質をとか顧客の望むものをという考えは実はほとんどない。
ブランドグループと言われるように、時計・宝飾・服飾はブランド
の統廃合の動きが激しいのも、このようなブランド戦略を元に
最大限稼ぐことのできるものを作ろうという動きに他ならない。
もちろんこのような動きが悪いとはいわない。ユーザーにとっても
アフターサービスや自己満足など色んな面でメリットを享受できる
のも事実だ。ただし、本当の意味で最高のものかどうかと言わ
れると頭を傾げたくなる。
そういう意味ではニーシングのマーケティングは非常に物足りない。
ドイツ人らしく職人気質で頑固で、一度こうだと決めたら譲らず、
マーケットに合わせる柔軟性は無い。良い例が商品ケース。
現在はどのような商品でも全てエコ素材で作った巾着袋で受渡し
をしているが、せめてテンションリングだけでもハードケースを準備
してもらいたいという販売店や代理店の要望を、なかなか受け入れ
てもらえないそうだ。この点だけを見ても他のブランドで最重要視
される市場マーケティングという観点が抜け落ちている。
リング一つにしても、アジアの人々の体格に合わせた幅での商品
開発というのもない。アジアや日本限定など地域限定モデルという
ものもないし、クリスマスといった期間限定モデルも無い。一部で
『店舗限定モデル』といったモデルはあるが、あのモデルは本来
数十年前はどの店舗でも取り扱えたモデルらしい。長い年月と共に
いつのまにか、そのお店だけが店頭で展開し注文をしている唯一の
お店になったというのがその実情らしい。今年はテンションリングの
販売25周年ということで、さすがに限定記念モデルが出ているが、
4半世紀も経たないと記念にならないのかと驚嘆してしまう。
このように、ニーシング社のスタンスというものは、自分達が満足
するものだけを販売する、顧客には媚びない、目先の利益を追求
しない、といったものだ。私がニーシングに惚れこむ最大の理由が
ここにあるのかもしれない。自分が会社を経営していて改めて痛感
するのだが、私はここまで徹底できない。自分だけではなく社員の
生活も掛かっている為に、つい目先の利益を求めてしまう自分が
居る。一度で良い。『そんな商品は私のポリシーに合わないから、
注文をお受けすることはできない!』と言ってみたい!!技術不足
でお断りすることはあるのだが・・・。
またこのようなスタンスは、創業以来の歴史と技術的な積み重ね、
そして商品に対する絶対の自信の表れでもある。自分達が血の
滲む思いをして開発して完成した結晶。現に現代美術館に芸術
作品として収蔵されたように、とことんまで追求し、一つの限界を
極めたもの。自分たちにとって最高のものを送り出しているのだ
から、必ず支持されるという確信。そのような思いが滲み出ている
ように感じられる。
商品にブランドとして魅力を出していく場合、その商品に対する
伝説やストーリー、エピソードなどを付加するというのは、どの
ブランドでもやっている常套手段だが、ニーシングの場合はその
ものズバリ、商品を全面に出してくる。だれそれが付けたとか、
王様や偉人といった誰かの依頼で開発したものとか、言い伝え
や伝説をモチーフにしたとかそういったエピソードとはまず無縁。
それはそのような必要が無いからだ。商品そのものが圧倒的な
説得力を持って訴えかけてくる。そこが大きく違う。
私がニーシングを好きな理由は、商品の魅力もさることながら、その
ブランドポリシー自体に惹かれているというのがその真相かも知れ
ない。こんな私の意見に洗脳されることの無い様、ぜひ注意しながら
ブログをお読みいただけたらと思う。
感想はこちら。danzi@excite.co.jp]]>
メールをお送り頂く際のお願い。
http://danzi.exblog.jp/3889711/
2005-12-11T01:49:53+09:00
2005-12-11T01:51:36+09:00
2005-12-11T01:49:53+09:00
danzi
雑談
最近、皆さんよりの反応のひとつとして、メールにて激励やご指摘、
問い合わせを頂くことが多い。それらひとつひとつを読むたびに、
今後ももっと良いブログになるように、もっと投稿できるように頑張り
たいという気になるのだが、その際にぜひお願いしたいことがある。
以下に箇条書きにしてみたので、どうかよろしくお願いいたしたい。
1.送信者名、件名は必ずご記入いただくこと。
送信者の欄が空欄、件名不明の場合は、迷惑メールと同じで
自動削除するように設定している。くれぐれも空欄のまま送信
されないようにお願いしたい。
2.可能な限りテキスト形式で。
仕事の上でのメールも多く、出張の際にはメールボックスが
溢れてしまうこともある。HTML形式は容量が必要になるので
できる限りテキスト形式で送信いただきたい。
3.添付ファイルについて。
テキスト、又はJPGやBMP、PNGなど画像データは極力サイズを
小さく設定していただきたい。これも上記と同じ理由だ。また、それ
以外のワードやエクセルなどの書式はご遠慮願いたい。テキストか
画像以外のデータは自動削除してしまうのでご注意!
4.修理・加工などの依頼について。
←NEW!!
残念ながらこちらのメールアドレスからは、一切修理や加工、鑑定
などのご相談、店舗の情報などのお問い合わせなど、全てお断り
させて頂いてもらっている。誠に申し訳ないが、どうかこのブログの
主旨をご理解の上、ご納得していただきたい。
全てに返信するのは非常に難しいが、努力はさせていただく。また、
最大の返信はここに投稿することだとも思っているので、返信が無
かったとご立腹されないようにもお願いしたい。
今後も、みなさんに暖かく見守っていただけるよう頑張らせていただく。
感想はこちら。mailto:danzi@excite.co.jp]]>
金の話。その1
http://danzi.exblog.jp/3828434/
2005-11-27T05:51:51+09:00
2005-11-27T05:53:19+09:00
2005-11-27T05:51:51+09:00
danzi
貴金属
エステサロンで金箔を使用した、その名も『純金美容ゴールドコース』
なるものを勧められ、非常に迷っているのだが、そもそも純金に本当に
そのように美容をもたらす効果があるのかどうかを教えてもらいたいと。
貴金属を使用する商売一つとっても、世の中には色々あるもんだなと
感心したものだが、それはさておき、やはり金にはそれだけ魅力がある
からこそこのような話が出てくるのだなと思った次第である。
さて、件の純金ゴールドコースはお試しする価値があるのだろうか?
来年のイヤージュエリーはゴールドということもあり、今回は金のお話を
させていただくことにしよう。
古来より、金には光り輝く美しさといつまでも変わらない永遠性を持って
人類を魅了してきた。現代においても、金は資産性を持つだけでなく工業
を支える重要な戦略金属の一つである。それを聞くと意外に思われる方も
居られるかもしれない。金が現代の産業にとって無くてはならないもの?
例を出してみよう。地球で最も金の含有量が多い金鉱山の鉱石より、同じ
重さの携帯電話のほうが金の含有量が遥かに多い。最先端のハイブリッド
カーに使用する燃料電池には金を欠かすことができない。金の耐薬品性、
不活性性、安定性に加え、加工のし易さなどが金をしてレアメタルの王と
呼ばれるまでに至った理由である。
そう、金は非常に安定した貴金属なのだ。空気中、水中、地中を問わず
酸化することはなく、硫黄や酸、アルカリにも侵されることは無い。例外が
水銀と王水だが、これは極めて特殊な例。まず日常生活において化学
変化を起こすような状況は考えられないのだ。金にはこのような特性が
あるということを念頭において、いよいよ本題に入りたい。
今回問い合わせ頂いた女性の話によると、件のエステサロンで金には
次の魅惑的な効果があると説明されたという。
1.殺菌作用がある。
2.新陳代謝を活発にする。
3.コラーゲンが集まり、みずみずしい肌になる。
4.肌本来の働きを甦らせるため全ての肌タイプに使用可。
5.満足度が高い。
結論から先に言わせて貰うと満足度が高いということ以外は全て間違い
である。殺菌作用に新陳代謝を活発にさせるなど聞いたこともないし、3の
コラーゲンを集めるという説に至ってはもはや理解不能。ただ、ここまでで
留めておくならばただの誇大広告というだけの話。わざわざこのブログで
取り上げる必要性も感じることはなかった。4の文章があったために、今回
ブログで取り上げることを決めたのだ。それは一体なぜなのか?
『全ての肌タイプに使用可』・・・これが問題だ。金属アレルギーという言葉
をご存知だろうか?金属が汗などに極微量でも溶け出した場合、イオン化し
体内に吸収されることがある。この金属イオンをウイルスのようにみなして、
抗体が攻撃することによりかゆみを伴ったり赤く腫れ上がったり、酷くなると
ただれてしまうなどのアレルギー反応を起こすことがある。これがいわゆる
金属アレルギーだ。
金は極めて安定した貴金属であることはお話した通りだが、だからといって
汗(や酸など)に絶対に溶け出さないかというと、検査しても分からない程度で
極々微量に溶け出しイオン化するのは起こりうるようだ。特に日本人の汗と
いうのは高湿度の気候に加え塩分の高い食生活によりイオン化させやすい。
また金属アレルギーというのは金属自体の性質には関係なく、抗体による
アレルギー反応なので、金で金属アレルギーを起こす人も出てくるのだ。
そう。つまり何も考えずに金箔を塗りたくりマッサージでもしようものなら、
アレルギーを持つ方ならば逆の意味で効果テキメン、美しくなるどころか
どんどん逆効果となってしまうのだ。下手すると取り返しの付かない事態に
なってしまうかもしれない。補償はエステサロンよりしてもらえるだろうが、
心の傷はそう簡単には癒えないのだ。無責任に、なんら根拠も無いまま
美容と健康の為などと安易に勧めて良いものではない。
では、金には老化を防ぐ効果はあるのか?
これに関しては否定も肯定もできない。それはなぜか?『暗示』という言葉が
ある。そうなんだと信じ込むことにより、実際にはそのもの自体が効果を与える
ことは無くとも、体が勝手に反応して効果が出ることをいう。医者から良く効く薬
だということで貰った薬を飲んで、実際に熱が下がり、お礼を言いに行ったら
実はただのビタミン剤だったなどというのは良く聞く話。思い込むことによりその
ような効果が得られることは有る。また、美しいもの、好きなものに囲まれること
により活力が芽生えることも有る。物欲が豊かな方は見るからに健康的な方が
多い。もちろん明日にも黄泉の旅路に旅立とうかという方が、物欲に駆られる
はずも無いのだが。
私も講演などで、『将来このようになりたいという目標を定め、強く願い、それを
幾度と無く言葉にしながら生活することによって、最終的には実現する』といった
お話をさせていただくのだが、これなど自己暗示の最たる例だ。思い込むことに
よって、自分自身の行動がその目標に向かって自然と進んで行く。無意識のうち
に目標への近道を選ぶようになってくる。目の前の家に行きたいと思っているのに、
空港に行き飛行機に乗る人はいない。逆に地球の反対側に行きたいと思うのに
一輪車を買ってくる人もいない。目標が定まれば手段が定まり現状が見えてくる。
どこをどのようにすると目標に近づけるかが分かってくる。
金の話からとんだ脱線をしてしまったが、これまた金の魅力のなせる技なの
だろうか?お読み頂いた方への、今後の参考になればと思う。
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プレミア時計。
http://danzi.exblog.jp/3692830/
2005-10-29T03:07:23+09:00
2005-10-29T03:05:42+09:00
2005-10-29T03:05:42+09:00
danzi
時計
私の方は風邪を引いたりと、どうも体調がすぐれなかった。日本男児たるもの
そうそう体調を崩していては気合が弛んでいる証拠と恩師に喝を入れられそう
だが、今年は本当に異常気象である。
さてここ数年、将来的にプレミアが付きそうな時計は一体どれかという質問が
非常に増えた。時計に関して興味が高まり、本当に良いものは一体どれか
という疑問が沸いてきた結果だろうとは思っているが、もし仮にそんなことが
はっきり分かるのであれば、今頃私は億万長者になっているはずだ。誰にも
分からないと思うのだが、一体全体プレミアはどのようにして決定されるの
だろうか?その秘密に迫ってみた。
プレミアウォッチといえばやはりパテックフィリップだろう。オークションでの
腕時計の史上最高額を更新したプラチナのワールドタイムが有名だ。さすがに
そこまでいくと別格だとしても、通常手に入る金額で購入できるようなモデルで
実際にプレミアのついた時計というものも結構多い。では一体どのようなものか?
このプレミアウォッチ、一つ一つを見ていくとプレミアのからくりというものが
見えてくるはずだ。
どういう時計にプレミアが付いているのだろうか?作りが良い時計だろうか?
精度が良い時計?故障しにくい時計?それとも限定モデル?じつは残念ながら
このいずれでもない。プレミアが付くということは一体どういうことなのだろうか?
これは完全に需要と供給のバランスのみで決定される。そのもの自体が優れて
いるかどうかということは全く関係ないのである。本当に素晴らしい時計にのみ
プレミアが付いているとは限らないのだ。
ロレックスなどで言えば、80年代に入るまで本当に売れていなかった。今では
考えられないことだが、当時は日本ロレックスの営業マンが鞄一杯に時計と粗品
を詰め込んで廻ってきて、何かフェアをしましょう!などとお願いして廻っていたのだ。
こんな話をすると大抵びっくりされてしまうが、ロレックスがいつの時代も売れていた
わけではない。そして、売れていなかったということは必然的に市場に出回る数も
限られてくる。ところが今のように人気が出てくると、当然現行モデルではなく、人と
違った、それも手に入りにくいモデルに脚光が集まっていく。もちろん数が限られて
いる以上、競争が生まれる。そしてそこに利益を求めて色んな人間が集まってくる。
こうしてプレミア価格が形成されるのだ。
だから現行のモデルにいくら投資してもプレミアモデルが生まれる可能性は低い
と見ている。まあ、まず身に着けた時点でプレミアが付く可能性は限りなく低くなる
のだから、よほど限定版とか生産数が少数で完全に未使用で保管することが一番
プレミアウォッチを手に入れるコツではないだろうか?
自分が持っている時計が突然話題のモデルとなって、もてはやされる時が来ない
とも限らない。そのような時を夢見ながら、じっくりと自分が気に入ったモデルを選ら
んでいく。それが時計選びの醍醐味だろう。金儲けとか不純な動機で選ぶことだけ
はやめてもらいたい。そう思う今日この頃である。
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ドイツの至宝『ニーシング』その2
http://danzi.exblog.jp/3464626/
2005-09-13T23:14:04+09:00
2005-09-15T01:28:21+09:00
2005-09-13T23:13:38+09:00
danzi
ブランド
やはりニーシングの技術力の高さをお伝えするには、以前よりお話している様々な謎に満ちたモデルを紹介していくというのが手っ取り早いだろう。その中でも最初にご紹介したいのは『メアンダー』というモデルだ。この『メアンダー』というモデル、私が初めてテンション以外のニーシングを知ったモデルでもある。リング自体は一本の太い平打ちリングをカットし2つのパーツに切り離してあるのだが、この切り離しが実に見事だ。非常になめらかで、どう考えても通常の糸ノコで仕上げれる範疇を超えている。これは画像ではなかなか分かりにくいので、実際に実物を見て見られることをお勧めする。このレベルを真似ることがどれだけ困難か、彫金をかじったことのある方ならすぐに分かっていただけるだろう。
ニーシングは調べれば調べるほど度肝を抜かれるモデルが数多く出てくるが、『ブレイデッド』シリーズもその一つ。リングの他にブレスレットやネックレスなどがある。最初見たときは数本の金を編みこんであるだけかと思っていたのだが、このモデル、実は薄い帯状のたった一本の金を編みこんで2連や3連に作ったもの。その事実がわかったとき、そのあまりの技術にめまいがしたものだ。一体全体どうやったらあのように綺麗なデザインに仕上げることができるのか?一点ものならともかく、色んなサイズでそれを実現していくのだから・・・。また、編み込みのデザインゆえにサイズも多少広げることができる。私がオーダーを受けても、どのくらい手間と技術を必要とするのか分からない。これまた超絶技巧モデルだ。
『ラビリンス』もとんでもないリングだ。デザイン自体は私は余り好きではないが、その作り方はこれまたとんでもない。何とたった1本のワイヤー状の地金をねじり、ひねりを加え、編み込み、成型してあるのだ。こんなものを一体どのようにして製作したら良いのか・・・。成型していく過程で必ずプレス機は必要になるだろうし、例え工具や工作機械が全て揃っていたとしても、これだけのものを創り上げるのに相当苦労させられるのは間違いない。
『テンションリング』自体は(耐久性は別としても)最近デザインを真似て出しているところも多い。しかし、そんななかでオリジナルの矜持を保つシリーズがある。『ウェーブ』というシリーズは、テンションセッティングでありながらひねりが加えられているとんでもないモデルだ。テンションセッティング自体は難しくないと豪語する方もおられるが、さすがにこのモデルに関しては沈黙を保っておられる。(※ニーシングのテンションリングはペンチで広げても離した途端元に戻ってしまうくらいテンション(張力)が強い。見た目は同じように見えても内実は別物と言っても良いくらい差がある。)
『ジョイント』というシリーズは、一本の板を丸めてリングの形状にして、端と端をクサビの様な形状の部品でジョイント(接続)した不思議なモデル。クサビの部分はただ嵌め込んであるだけなので、カタカタと動くのだが、外れそうで決して外れない。しっかりとジョイントしてある為に隙間が広がることも無く、高い耐久性も誇る。これまた製作過程を考えれば考えるほど冷や汗が流れてくるリングだ。
『モルト』というデザインにいたっては一見何が凄いのか全く分からないだろう。これは入っているダイヤモンドの留め方に注意してもらいたい。一見するとパヴェセッティングのように見えるが、実はベゼルセッティング(厳密にはベゼルではないが)という留め方。よく見かけるような爪でダイヤモンドを留めている留め方ではないのだ。他のデザインはともかく、特に正方形に9個のダイヤモンドが留めてあるものについては、これだけ詰まった間隔でこれだけ綺麗にこの方法で石留めできるという技術力にニーシングの凄さを感じる。
今回ご紹介したモデルも、ニーシング全体のモデルからしたらごく一部でしかない。これ以外にも様々なデザイン、桁外れの技術力が隠されているモデルが多数存在するのだ。知れば知るほど奥が深いブランド。自分用の宝飾品はニーシングのみでいい。私はそう思っている。
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