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2004年 10月 17日
最近、故障した時計を、購入店でもメーカーでもなく私のところに
持ち込んできて、『せっかく思いきって購入したのに故障した!』 と文句を言われる方が多くなってきた。時計は精密機械だから どのような時計であっても故障はするのだが、高額品であれば 故障しない(もしくはしにくい)と思っている方が非常に多いようだ。 そもそも私に文句を言うこと自体、明らかに筋違いなのだが、 このようなお客様はひとしきり文句をぶち上げた後、メーカーに 伝えてよ!とこれまた理不尽な要求をすることが多い。それで いて修理はメーカー送りを指定される。このようなお客様がこれ 以上増えない為にも、どのような時計が壊れやすいのか、時計 の構造も含めて説明していこう。 しょっぱなから愚痴をこぼしてしまって申し訳無いが、どうも 地元の正規代理店が(!)アフターサービスはうちにお持ち 下さいとご案内しているようなのだ。このお店、全国にも名が 知られている某有名時計店。アフターに関しては、身なりで 判断する(しょっぱなから並行品でしょ?と決めてかかって アフターしようとしない)とか、とかく良い話は聞かなかったが、 まさかアフターならあそこへ、なんて案内してるとは思わな かった。今度請求書を送付しようかどうか真剣に考えている (送料を考えたら下手すると赤字になるブランドもある為)が、 正規代理店だから、有名だからと安易に購入店を決めないで、 アフターサービスなど実際の生の(雑誌などの記事ではない) 情報を集めてから購入することをお勧めしたい。 さて、時計というものは安いから故障する、高額だから故障 しないというのは大きな間違いだ。1000円のクオーツ時計が 電池交換だけで何年も故障しない傍ら、数十万、数百万の 機械式時計がしょっちゅう故障するということも良くある話だ。 では一体どうしてこの様なことになるのか、そもそも故障し やすい時計とはどのようなものなのかを説明しよう。 時計は精密機械であるのはご存知の通り。だからといって 何も難しく考える必要はどこにも無い。機械というものは 単純であればあるほど故障しにくく、複雑になればなるほど 故障しやすくなっていく。これが基本だ。 もちろんケースの構造など長期的に見れば故障に関係する 要素というものは限りなくある。しかし短期的に見れば、故障 しにくいのは間違い無くシンプルな二針モデルであり、多軸 クロノグラフやコンプリケーションモデルになればなるほど、 少しの衝撃でも、数多くの部品がある以上故障しやすくなる。 プッシュボタンが増えれば増えるほど機密性は失われるし、 内部メカに衝撃が伝わる可能性も高まる。 そのような意味でも故障が多いと実感するモデルはブレゲだ。 そもそも店頭に並んでいる状態からクロノグラフ針がずれて いることが多い。こういっては申し訳ないが、ブレゲで今まで クロノグラフ針がずれていなかったのはカタログ以外では 見たことが無い。たいていリセットしてもきちんと12時を指して いることはない。イメージは非常に良いし、ストーリー的にも 惹かれる時計ではあるが、ブレゲとは資本的にも技術者的にも なんらつながりは無いし、オリジナルのブレゲから言えばコピー も同然だ。オリジナルが無くなってしまっているので、名前を 譲り受けて、オリジナルを分解し研究して新しいモデルを発売 しているだけという見方も出来る。ブレゲの名前を冠している のはブレゲに対するオマージュだと認めているし。でも正直、 故障は多い。少なくとも私のお客さんでは。 他に名前を挙げるのならば、やはりフランク・ミュラー。これに 関しては以前の記事をご参照頂きたい。デザインで選ぶと 失敗する良い例かもしれない。 個数で多いのはオメガだが、こちらは販売数と比例している 印象がある。少なくとも、同じ故障を短期間に何度も繰り返す とか、特に作りが悪いという印象はない。やはり上記の2つが 突出している。 逆に故障が少ないのはどこかと聞かれれば、私はロレックスと セイコーを挙げる。ロレックスの生産本数を公表すると怒られて しまうので差し控えるが、はっきり言って故障率は少ない。データ だけでなく、実感としてもだ。衝撃にも強く、防水性もご存知の 通り。もちろん正しく使っての上での事だが。使用上の誤りは この際問題外ということで。 セイコーも機械に関しては故障は少ない。ただし、ブレスなど に関してはこの限りではない。クレドールにしろGSにしろ、割り ピンや駒ネジが割れたり折れたりというのは結構ある。ブレスの ピンに関しては海外ブランドと比較しても少し錆びやすく感じる。 この辺は他の同業者の意見も聞いてみたいところだ。 クロノグラフは圧倒的にプッシュボタンの故障が多い。手巻きも 竜頭の巻芯の破損が多いし、こうして考えてみるとクオーツに 故障が少ないのは、ただ単純に操作することが無いからという 気がする。年季の入った時計を電池交換するとき、ほとんどは カレンダーすらないシンプルな時計がほとんどで、竜頭を操作 する必要がないものがほとんどだ。操作すれば負担はかかるし、 機械式はそれが多いから故障頻度が高くなってしまうのだろう。 いずれにせよ、故障しにくい時計、故障してもすぐに修理できる 時計というのはシンプルな時計だ。複雑時計を購入する以上、 故障とメンテナンスには常に向き合う覚悟をもっていただきたい。 あとで維持費にこんなにかかるなどと後悔しないように、そして、 それが元で時計自体を嫌いにならないようにお願いしたい。 感想はこちら。mailto:danzi@excite.co.jp by danzi | 2004-10-17 13:41 | 時計
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