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2004年 09月 05日
またまた久しぶりの投稿である。みなさんはいかがお過ごし
だっただろうか?出張続きのため投稿が極端に遅れているが、 どうかお許し願いたい。今日は出先からの投稿である。 さて、最近の宝飾業界の不況ぶりには目を覆うばかりだが、 お客さまの方も不況なのか、変な来客が増えてきている。いわく、 鑑定してもらいたい、価格が適正かどか見てもらいたい・・・。 そのようななかで、明らかにこの商品はおかしいと感じるものが ある。典型的なパターンというか・・・。『海外ジュエリーの注意点。』 にてご紹介したものとも違い、国内にて購入されたにも拘らず そのような商品に出会うケースが増えている。それは一体どの ようなものなのだろうか? お客様が持ち込むジュエリーの中で、これは?と思うものがある。 また、最近の来客パターンで怪しいと感じる典型的なパターンが ある。普通ではまず考えられない(一部ではありえるが)ような、 非常に割高な価格で購入しているパターンだ。そしてその殆どが 専門店ではなく、マンションの一室やホテルの催事場といった場所 や訪問販売などで購入している。 以下の場合はその典型的なパターンだろう。 1.婚約が決定して、以前勧められて思い切って購入した ダイヤモンドを作り替えたいが、念のため価値を見て もらいたい。 2.以前にとあるお店で二度と手に入らないと勧められて、 60回くらいの(極端に長い)分割で購入したジュエリー を処分したいが、価値がどのくらいのものか見てもらい たい。 3.息子や娘、または奥さんなどが高額のものを購入して しまったが、本当にその価値があるのかどうか見て欲しい。 ・・・などなど。 価格が適正かどうか不安になっている時点で、ほぼ間違いなく騙さ れている。本当のところはどうなのか不安だが、専門店にいって聞く ほどの勇気はない。そのような方が沢山訪れるようになったのだ。 実際に商品を見てみると、殆ど価値のないような酷い物が多く、また 良い物があったとしても本来の価値の何倍もの価格で購入されて いることが多い。それがクレジット契約で更に大きく膨らんでいる。 この手数料も異常に高く、法定金利すれすれなことが多い。そう、 誰がどう見ても騙されている。以下にその手口を簡単に公開させて いただくので注意されたい。 まず、この宝石は非常に希少価値が高くてもう手に入らない、という パターン。ヒスイや珊瑚などのほか、普通宝石店では余り扱わない 希少石というよりは珍品の部類に入る宝石など。ルチルクオーツや 虫入り琥珀、キャッツアイ・シリマナイト、カラーチェンジ・ガーネット、 (十字架模様の)アンダリューサイトあたりを見かけたことがある。 いずれも宝石としての価値は余り高くなく、しかし高価なように思える のだろう。キャッツアイ効果が出る宝石と言うのはいずれ詳しく説明 するが、非常に多い。有名で価値が高いのはキャッツアイ・クリソベリル で、それ以外はそこまで効果ではない。カラーチェンジ・ガーネットにしろ、 何か特殊な宝石と言うのはマニアにしか意味がないので、本当に好き でない限り手を出すのはやめておいた方が良い。 次に、掘り出し物が・・・と言うパターン。品質は良いものもあれば 二束三文のものまで雑多だが、とにかく相場よりも高い。ダイヤ を筆頭に、ルビー、サファイヤ、エメラルド、パライバトルマリンや キャッツアイクリソベリル、アレキサンドライトなどの他に天然の ピンクダイヤモンド、ナチュラルルビー、ナチュラルサファイヤなど 本当に希少なものなども見かける。ただし、実はアレキではなく ガーネットだったとか、再鑑定を取ってみるとナチュラルではなく エンハンスメントが行われていたりなどやはり騙されていることも 多い。本物でもとにかく高い。相場を知ること。 また、あなたに相性の良い宝石、幸運をもたらす宝石などという 本来の宝石の価値以外をつけて売る場合。具体例を出すと、 エイトスターダイヤモンドあたりがその筆頭だろう。代理店契約を して販売していた知人がいたが、今はどうしているのだろう? これは本人が満足している限りいくら出そうが構わないが、聞か れればそんな値段はしないとしか答えることが出来ない。宝石は 本来輝いて何ぼである。いくらカットが素晴らしいだの、専用の スコープで見たらどうだのいわれても、実物を身に着けて輝かな ければ宝石としては意味がない。私には高価なお守りですね、 としか掛ける言葉が見つからない。(信じれない方は、現在輝きの 強さを測定できる機械があるので、計測してみると良い。客観的に 計測することが出来る。) 専門店でも非常に紛らわしい呼称で惑わせる商法もある。典型的 なのがジュエリーマキ。プラチナシルバーという名前の、プラチナを ほんの僅か混ぜたシルバー製品をプラチナ製品並みの価格で販売 していたり、PT100(意味はプラチナの純度10%)という財務省では 認可されない刻印を打ってあったりなど。日本で法律で決められた プラチナ製品の純度はPT850(純度85%)以上のもの。これ以下は プラチナとしては認められないものなので覚えておきたい。こういった あやふやな呼称は、今後罰則の規程が定められる方向性なので 減っては来るだろう。 本来よりも高い価値に見せる為に、勝手な宝石名をつける場合もある。 ありえない宝石名や、全く違う宝石名をつけたりしているものだ。 例えばインペリアルエメラルド(イエローベリル)、ウォーターサファイヤ (アイオライト)、ブラジルひすい(クリソプレーズ)、ファイヤーオパール (カーネリアン)、タンザナイト(アメシスト)、マタラ・ダイヤモンド(ジルコン)、 アレキサンドライト(カラーチェンジガーネット)、ルビー(スピネル)・・・。 そうそう新種の宝石が出てくるものでもないので、怪しい話には飛びつか ないこと。 女の子からいきなり電話がかかってくると言うものもある。いわゆる デート商法だ。デートに誘われ仲良くなっていくうちに展示会に連れて いかれて買わされる。これは買わされる方が悪いので、社会勉強の 一つと思って諦めてもらうしかない。鼻の下を伸ばした自分が悪いのだ。 時計で言えば、この手の話に登場するのはエルジンの時計であること が非常に多い。なんとなく見たことがあるブランドで、ダイヤも入っている し金だし・・・ということで購入するようだが、数千円の時計にも文字盤に ダイヤは入っている。また、メッキと無垢を勘違いするのは論外。本来 せいぜい1万円程度の時計を100万円以上で購入していたりすると、 もはや常識を疑ってしまう。本当に無垢だったりしても作りが悪く、本来 の定価でも50万円以上することはない。 それにしても最大の疑問は、どうして専門店で購入しないのだろう? すくなくとも、価格の比較対照はすべきだろう。それが高価なもの であれば尚更だ。普通は比較検討すると思うのだが・・・。 騙されないポイントやコツを聞かれるが、はっきり言っておくと、地元で 長い年月営業しているお店で購入する限り、まず騙されるということは ない。ぼったくりのお店が長い年月営業を続けられるはずがないのだ。 また、初めてのお店でいきなり高額品を購入しないこと。鑑定書や 鑑別書はお店独自のものではなく、鑑別団体協議会加盟のものに してもらう。一人で行かない。即決しない。比較検討する。相場を調べ る。詳しい人に話を聞く(メールでも可)。などなど。 逆に信頼できるお店はどのようなものかと言うと、地元で長年営業 しているお店(最低10年以上)。30年以上続いていればまず間違い ない。地方になればなるほど社会が狭いので、下手な評判はすぐ 駆け巡る。田舎であればあるほど信用度は増していく。店の雰囲気、 立地、販売員の姿勢や立ち振る舞い・応対、クレジット決済の種類、 廻りの評判。数軒廻るとすぐに分かってくる。 ・・・正直、このような話が最近増えてきていることに懸念を感じる。 オレオレ詐欺ではないが、このような商売が増えてくると、決して 業界にとってもいいことではない。業界全体がもっとオープンになり、 このような商法が付け入る隙を見せないように努力していきたい。
by danzi
| 2004-09-05 03:18
| 雑談
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